代表性のないサンプリングの4つの例を知るだけでも勉強になるよ。
こんにちは!ふくカエルです(Twitterアカウント:ふくカエル)。
ご訪問いただきましてありがとうございます!
今回は、クリティカルシンキング実践篇「あなたの思考をガイドする50の原則」を勉強してみます。
この記事は、あくまでもわたしの個人的な解釈に基づくものです。
中には、「これ違うんじゃないの?」という箇所もあるかと思います。
温かい目でお見逃しくださいますよう、よろしくお願いします。
もっと、きちんと
くわしく理解したいぞ~~~!
という方には、下記の書籍をご覧いただけるとありがたいです。
今回から第9章「良い議論と悪い議論」です。
日々の暮らしの中で欠かせないものの一つに、「議論する」ことがあります。
自分の決定が正しいことを他人に納得させることが、必要な場面が出てきます。
そんなときこそ、クリティカルな思考力が必要になってきます。
思考力をうまく使えば、次の2つのことが可能になります。
- 自分の考えを論理的で説得力のある方法で主張できる
- 他人の主張や議論を適切に評価できる
ふくカエル
前回は、
前回では、帰納(きのう)的議論の正しさを評価する残りの規準
- 前提の関連性
- 結論のための十分な根拠
についてお知らせしました。
さらに「結論のための十分な根拠」については、サンプリングの重要性についてお知らせしました。
今回は、
前回にお知らせし切れなかった次の点についてお知らせします。
代表性ないサンプルから導かれた結果は、ひどく誤ったものになってしまうので要注意です。
4つの例をお知らせします。
これから議論する機会があったときに、この4つの例を活用してもらえると嬉しいです。
その前に、代表性とは何かな?
代表性について
その前にもう一度、代表性について復習してみます。
ここでいう代表は、全体の様子を反映しているものという意味です。
代表性とは、サンプルが集団全体の代表としてふさわしいかどうかを表すものをいいます。
集団全体とサンプルが、
特質(結論と関連性)において、非常に似ているのであれば、
そのサンプルには代表性があるといえます。
図解にするとこんな感じになります。
なので、代表性のあるサンプルをいかに多く集められるかが、
帰納(きのう)的議論において、結論に十分な根拠を与える鍵になってきます。
たとえば4つの例
たとえばです。
日々の暮らしの中でサンプリングに接することが多いのですが、
その中でも、とくに代表性が問題になる身近なサンプリングの4つの例をお知らせします。
- 世論調査
- 番組内でテロップに流れるSNS投稿の類
- 街角インタビュー
- 血液型性格判断
1.世論調査
まず、世論調査です。
世論調査とは、特定の事項に関して、一般大衆がどのような意見、判断、態度を保持しているかを数量的に調査したものをいいます。
よくニュース番組や新聞などで目にする「内閣支持率」や「政党支持率」などがそうです。
内閣府でも世論調査を実施した詳細な方法をホームページで公開しています。
世論調査は、全国民の調査をすることが事実上むずかしいので、サンプリングの方法をとっています。
無作為抽出方法(ランダム・サンプリング)です。
コンピュータによる疑似乱数を用いて、電話番号を割り出して調査をする方法(RDD方式)が一般的です。
でも、この方法は固定電話や携帯電話など、実際に電話に出ることできる人のみに限定してしまうので、無作為とは言えないのでないかと批判されています。
このように世論調査は規模が大きいことから、代表性のないサンプルが抽出されてしまうことが多々あります。
どんなに代表性のないサンプルにより抽出された世論調査であっても、
あたかも厳正な調査の結果のように「これが世論調査だ!」と言われれば、
いとも簡単に大勢の人が納得してしまう危険性があります。
そうなのか!
世論ではこう考えているのか!
な~んて神妙になって、本当にコロッとだまされて、受け入れちゃうのです。
世論調査などを用いた情報操作は、隠れてカタチで行われるので注意が必要です。
- どんな抽出方法を実施したのか
- 方法が偏向していないか
など、公開しているサンプリングに関する情報などをチェックするのが重要です。
ニュース番組などは、編集されることが多いので要注意だと言われています。
2.番組で取り上げられるSNSの投稿
最近、テレビなどの生放送のときに、番組宛に投稿されたSNSを取り上げて、テロップとして放送している番組があります。
「視聴者の声」としていますが、テレビなどの一定の影響力を考えると、「視聴者の声」から始まるサンプリングにあたり、代表性の誤ったものになっています。
代表性が誤っていることは、SNS投稿しようとする人がどんな人なのかを考えると見えてきます。
SNS投稿している人は、次のような人である場合が多いです。
- 番組内容に興味を持った人
- 放送時間に、実際に番組を見ることができた人
- SNS投稿できる人
- 番組でとりあげた問題に積極的に関心を持っている人
これだけでも相当な偏りがあり、「視聴者の声」というにはほど遠いのです。
そこには、次のような人が一切サンプリングされていません。
- 何らかの事情でテレビを見れない人
- SNSなどのツールを持たない人
- 反対意見だけどSNS投稿したくない人
- 問題に無関心な人
- 録画して後で見た人
一番大事なことは、番組側でそのSNS投稿の内容をチェックしていることです。
3.街角インタビュー
また、街角インタビューです。
よくあるのが、
地域行政や政府の政策について、
あなたは思いますか?
と街角でインタビューしているやつです。
これがあたかも「市民の声」「国民の声」と理解されるようなカタチで放送されると代表性のないサンプリングになります。
- 場所(駅前・商業地帯・農業地帯・住宅街)
- 時間帯(朝・昼・夕方・深夜)
- その人の性格(インタビューされて引き受けるかどうか)
などに隔たりがあるからです。
もちろん、放送局側で事前に編集できる点も不確かです。
何らかの調査の結果を検討するときは、
そのインタビューが
- どのような集団から
- どこで
- どのように
抽出されたかを明らかにしていなければ、信頼性がないインタビューになるのです。
インタビューされていた人が「実は雇われた人だった」ってことあるよね。
4.血液型性格判断
そして、血液性格判断です。
血液型によって、その人の性格を判断するというものです。
ふくカエル
代表性がないサンプリングの実例と言われています。
この血液型性格判断は、2万人のアンケート調査によって成り立っているとしていますが、
そもそもこのアンケートは、血液型性格判断の本を購入した読者のアンケートハガキによるものだそうです。
大西赤人著 1986
「血液型の迷路」朝日新聞社
アンケートハガキを返送してきた人が、どのような人なのかを考えてみると、代表性がないことが見えてきます。
- 血液型性格判断に興味がある人
- 本を買った人である
- この説に賛同している人など
です。
ここには、
- 血液型性格判断に興味のない人
- 本を買っていない人である
- この説に反対している人など
のサンプルは入っていません。
このような代表性がないサンプルを万単位でどんなに多く抽出しても、サンプル自体に代表性がないので意味がないのです。
ふくネコ
雑誌のアンケート調査は盲信せずに、かたよりのあるサンプリングであると認識していおくのがいいです。
「あの雑誌がとったアンケートだから、信用できる!」なんて考えていると後悔することもあるかもしれません。
代表性に疑いがあるサンプルに遭遇したとき、どのようにするといいのかな?
まず、どんな人がサンプルになっているかを考える
まず、どんな人がサンプリングされているのか、その特性を考えてみます。
たとえば、
- 答えられる人
- 賛同している人
- 興味のある人
- 最後までやり遂げた人 など
です。
次に、逆の立場の人を考える
次に、サンプリングされている人とは、逆の特性を考えてみます。
たとえば、
- 答えられない子供
- 反対している人
- 興味のない人
- 途中で止めた人 など
です。
こういった人たちもサンプリングされているのかどうかをチェックしてみます。
代表性のあるなしが見えてきます。
代表性を意識しておくと、どんな利点があるのかな?
サンプルをチェックできる
代表性を意識するように心がけていると、サンプルの良し悪しを見分けることができます。
サンプルの良し悪しを見分けることができると、帰納(きのう)的議論の結論の良し悪しをも見分けることができます。
ワンクッション持てる
また、代表性を意識するように心がけていると、むやみやたらにサンプルを信頼せずに、
- 情報操作をしていないか
- 偏向していないか、など
ワンクッションを置いて考えることができます。
間違った信念を持たずにすむ
さらに、代表性のない何の意味ももたないサンプルによって、間違った信念を持たずにすみます。
先ほどの例で出した「血液型性格判断」のように、
いったん信じてしまうと、それが強い信念となってしまうケースがあるのです。
あなたはB型だから
我がままよね!
なんて決めつけられると、たまったもんじゃないです。
ふくカエル
自分の好きになった人も血液型で判断するといった暴挙に出ます。
だって証拠があるもん!と頑固になってしまうと
後に引き帰すことができなくなっちゃいます。
積極的に接する姿勢を身につけることができる
そして、代表性を意識するように心がけていると、
自分の頭で考えて、能動的に接するのではなく、積極的に接する姿勢を身につけることができます。
まとめてみたkerokero
- 代表性のないサンプリングの4つの例についてお知らせしました。
サンプルを持ち出して議論をすることは、結論に説得力を持たすことができます。
でもサンプル自体が誤っていると、結論もズタズタになるのです。
サンプルを提示されたら、ふ~~んと聞き流すよりも、ちゃんとチェックする姿勢でいるといいです。
議論の怪しさは、サンプルに隠れていることが多いそうです。
最後まで、読んでくださってありがとうございます。
またのお越しをお待ちしております。
ふくカエルでした。
なお、クリティカルシンキングの引用文は、宮元博章さん他お三方の日本語訳によりました。