なぜ、間違った直観がつくられるのかな?
こんにちは!ふくカエルです(Twitterアカウント:ふくカエル)。
ご訪問いただきましてありがとうございます!
今回は、クリティカルシンキング入門篇「あなたの思考をガイドする40の原則」を勉強してみます。
もっと、きちんと くわしく理解したいぞ~~~!
という方には、下記の書籍をご覧いただけるとありがたいです。
今回から第5章「信念を分析する」です。
前回は・・・
前回は、
直接体験をすると、どうしてもクリティカルな分析ができなくなることについてお知らせしました。
直接体験したことが強烈すぎると、その体験に引きずられてしまって、
現象を分析するよりも、そのまま信じてしまうからです。
今回は・・・
今回は、直接体験以外に、クリティカルな分析を忘れてしまい、
直観に頼ってしまう場合についてお知らせします。
ふくカエル
不思議な体験をすると、なぜクリティカルな分析をすっ飛ばしてしまうのかな?
人は、不思議な体験をすると、
なぜクリティカルな分析をすっ飛ばしてしまうのでしょうか?
たとえば、こんな場合です。
トリックやいたずらだと疑いもせず、
一発で未確認飛行物体(UFO)だと信じちゃいます。
こんなことは普通あり得ない!と決めつけるから
まず、目の前の不思議な現象が
- 偶然こんなことあり得ない!
- 滅多に起きないことだ!
と決めつけるからです。
このように決めつける背景には、次のようなざっくりとした確率を判断しています。
- その出来事が偶然に起りそうか?
- それとも滅多に起きなさそうか?
とざっくりとした確率を考えます。
なぜ、ざっくりとした確率を考えるのかな?
めんどくさいから
そりゃもう、めんどくさいからです。
確率を一から計算しようとすると、
ひとつひとつの不思議な現象を情報を集計して、さらに計算しなければならないからです。
ふくカエル
ふくネコ
そこで、簡便な方法をとる
なので、
- 今までの自分の知識や経験
- 情報やデータ
- 簡単な方法
を利用して、
おおまかなデータから、
- その出来事が偶然におこるものか?
- めったに起こらないものか?
だいたいの確率をちゃちゃちゃっと自分で予測しちゃうのです。
ちなみに、この「ちゃちゃちゃっ」を
究極なレベル「ちゃっ!」まで
もっていったのが「直観」になります。
これを「ヒューリスティクス(簡便法)」といいます。
必ず正しい答えを導けるわけではないけれども、
ある程度のレベルで正解に近い答えを得ることができる方法です。
これは、答えの精度は保証されない代わりに、回答までの時間を少なくするメリットがあります。
【参照:Wikipedia】
この「ヒューリスティクス(簡便法)」の中でも代表的な方法が次の2つになります。
- 利用可能性
- 代表性
今回は「1.利用可能性」について考えてみます。
利用可能性ヒューリスティクスとは?
どれだけ思い出せるか?で推測する方法
利用可能性ヒューリスティクスとは、
どれだけの実例をすぐに思い出すことができるかを基準として、
確率を推測する方法をいいます。
自分に思い当たることが多いと
世間でよくあることだ!
と思っちゃうのです。
ネットで検索すると、
検索に上がってくる情報が多いほど、
よく世間で発生している出来事なんだなあと推測することに似ています。
確率が高いと推定する場合
- 多くの実例を直ぐに思い出せる
- すぐに頭に浮かんでくる
場合には、
⇒ 利用可能性が高いので、確率が高いと推測します。
確率が低いと推定する場合
- 少しも実例を思い出せない
- 頭に全然思い浮かばない
場合には、
⇒ 利用可能性が低いので、確率が低いと推測します。
ふくカエル
でもです。
かなり正確に確率を予測することができる反面、問題もあります。
利用可能性ヒューリスティクスの問題点
記憶の歪みから予測を間違える
利用可能性ヒューリスティクスは、自分の記憶をよりどころにして、
どれだけ当てはまる情報を思い出すことができるのかで、確率を推定する方法なので、
- 記憶忘れ
- 記憶違い
- 記憶そのものが間違い
などの記憶の歪みによって、
間違った確率を推定してしまう問題があります。
間違った直観をつくりだす
この記憶の歪みは、勘違いを引き起こすもとになる「間違った直観」を生むことになります。
自分の記憶から思い浮かべた情報が正しければ、「直観」も正しいものになり、精度も上がるのですが、
自分の記憶自体が間違っていると、「直観」も精度が落ちて、間違えたものになるのです。
ふくカエル
ちょっとここで考えて欲しいのです。
次の1から3のそれぞれについて、AとBのうちどちらが死亡原因として多いでしょうか?
- A 妊娠、流産および出産 B 虫垂炎
- A 事故全般 B 心臓発作
- A 殺人 B 自殺
Fischhoff,B 1977, Vol. 3, No. 4, 552-564. Knowing with Certainty: The Appropriateness of. Extreme Confidence.
実は、いずれもAの方が少ないのです。
ちなみに、日本の場合は・・・
- A 妊娠、流産および出産(522) B 虫垂炎(24,651)
- A 事故全般(68,577) B 心臓発作(204,837)
- A 殺人(288)B 自殺(20,465)
ところで、あなたは死亡原因として次の質問について、
どちらが多いと判断しましたか?
- 事故
- 心臓発作
もちろん「事故死」ですよねっ!
えっ!違うの?
う~む。
ここは事故死にしといてね。
なぜ、事故死になるかと言うと・・・
このような質問をされると
普通、
- 何かで読んだ実例
- 自分が体験した実例
を思い出そうとします。
そして、たいがいの場合は、心臓発作よりも事故死の実例を多く思い出します(利用可能性が高い)。
利用可能性が高いので、その分だけ確率が高いだろうと予測しちゃうのです。
確率が高いのなら、事故死の方が多いのではないかと判断しちゃうのです。
でも、どうしてだと思います?
それはですね・・・
それはですね・・・、
要因の一つは、ニュースメディアです。
ニュースメディアが事故を多く報道するからです。
なぜか報道するかと言うと、
心臓発作で死亡した人の報道よりも、事故死した人の報道ほうがセンセーショナル(大衆の興味や関心をあおりたてる)だからです。
劇的な事故の記事には注意が向くし、話題にのぼりやすいし、人々の記憶に残りやすいからです。
心臓発作で死亡した人の報道は、有名人の心臓発作でないかぎり、あまり報道されないもんです。
最近「偏向報道・フェイク」について問題になっています。
現在のマスメディアだけでなくSNSなどの通信手段は、
わたしたちの情報の利用可能性を不当に操作している場合もあるので、
本当に要注意です。
超常現象などは視聴率を高める材料として報道する場合があります。
そのようなコンセプトが見え隠れする番組を「本当だ!」と素直に信じるのではなく、
「これは科学でトリックで説明できるかも?」なんて冷めた目で見る姿勢も忘れずにいるって大事です。
ふくカエル
SNSにいたっては情報発信している本人がフェイクに全く気づいてない場合があります。
マスメディアのように放送倫理のような縛りがないからです。
平気で人をだまして自分の都合のよう話へ誘導する場合がありますので要注意です。
なので、なんでもかんでも
盲信しちゃダメだよ。
そこで必要になる、クリティカルな思考になる第33の原則
われわれはどれだけの実例を思いつけるかによって出来事の生起確率を判断する利用可能性ヒューリスティックスを使う。自分の利用可能な情報に偏りがないかどうかに注意せよ。
クリティカルシンキングより引用
こんな風にアレンジしてみた!
第33の原則
わたしたちはモノゴトの確率を
自分の
- 今までの知識や経験
- 情報やデータ
などを思い出すことで、いろいろな確率を推測してるよ。
多く思い出せば思い出すほど、より確率は高くなると推測してるよ。
これ自体は良いことだけど、
そもそも
- 抽象的な情報やデータは、すぐ忘れる
- 反対に強烈な印象はいつまでも記憶に残る
という傾向があるから、
自分の
- 今までの知識や経験
- 情報やデータ
自体にも、歪みがあることを自覚しておくのも大事だよ。
ほんま、
記憶違いがあるからね!
思い違いで損すると
モッタイないよ!
ここで、ちょっと考えてみませんか?
こんな場合はどう考えます?
ここでクエスチョンです!
あなたの隣りに最近引っ越ししてきた人が次のように言いました。
この町はなんてネズミの多い町なのかしら?
隣りの人は寝ている間にネズミに噛まれたと言っていたわ。
わたしも今朝ガレージでネズミを見つけたのよね。
きっと街中に何百匹ものネズミがいるに違いないわ。
さっそく保健所に行って、大規模なネズミ駆除を申請しなくちゃ!
さて、あなたはこの隣人になんとアドバイスしますか?
こんな風にアドバイスしてみます。
あのね、実際にネズミが多いかもしれないけど・・・。
あなたが遭遇した事実は、
- 隣りの人がネズミ噛まれた事
- 自分がガレージでネズミを見つけた事
の2点に過ぎないよね。
たしかに、ネズミにかまれるのは強烈な情報だし、
ガレージで見かけたなら、ネズミ嫌いの人のとって不安この上ないよ。
でも、そのネズミを見ただけで何百匹いるに違いない!というのはいささか飛躍しすぎじゃない?
あなたが、実際に目撃したネズミは、同じネズミかもしれないよ。
事実から予測できるのは、ネズミは多くて2匹、ひょっとすると1匹だけなのかも?
あとで一緒にネズミ駆除のグッズを見に行かない?
とアドバイスするのはどうでしょう?
ねずみをいろんな単語に変えてみると応用できます!
まとめてみたkerokero
- 大まかに確率判断をするときの問題点をお知らせしました。
- 自分の今までの知識や経験、情報、データなどを思い出すことで利用可能性を判断し、大まかな確率を予測します。
- しかし、そもそも抽象的な情報などはすぐに忘れ、強烈な体験ほど記憶に残ります。
- すると、自分の情報などに歪みができ、大まかな確率を誤って予測する傾向に陥るのです。
- この歪みを自覚するのが大切です。
最後まで、読んでくださってありがとうございます。
またのお越しをお待ちしております。
ふくカエルでした。
なお、クリティカルシンキングの引用文は、宮元博章さん他お三方の日本語訳によりました。