帰納(きのう)的議論の良し悪しを見分けるには?
こんにちは!ふくカエルです(Twitterアカウント:ふくカエル)。
ご訪問いただきましてありがとうございます!
今回は、クリティカルシンキング実践篇「あなたの思考をガイドする50の原則」を勉強してみます。
この記事は、あくまでもわたしの個人的な解釈に基づくものです。
中には、「これ違うんじゃないの?」という箇所もあるかと思います。
温かい目でお見逃しくださいますよう、よろしくお願いします。
もっと、きちんと
くわしく理解したいぞ~~~!
という方には、下記の書籍をご覧いただけるとありがたいです。
今回から第9章「良い議論と悪い議論」です。
日々の暮らしの中で欠かせないものの一つに、「議論する」ことがあります。
自分の決定が正しいことを他人に納得させることが、必要な場面が出てきます。
そんなときこそ、クリティカルな思考力が必要になってきます。
思考力をうまく使えば、次の2つのことが可能になります。
- 自分の考えを論理的で説得力のある方法で主張できる
- 他人の主張や議論を適切に評価できる
ふくカエル
前回は、
前回では、帰納(きのう)的議論がどれぐらい正しいかを評価する3つの規準
- 前提が真か、もしくは容認できること
- 前提と結論との間に適切な関連性があること
- 複数の前提が共同して、結論の可能性を高める十分な根拠を構成
のうち1の認容可能性についてお知らせしました。
今回は、
今回は、帰納(きのう)的議論の良し悪しを見分ける3つの規準の残り
2.「前提と結論との間に適切な関連性があること」(以下、「前提の関連性」といいます)ついて
3.「複数の前提が共同して、結論の可能性を高める十分な根拠を構成」(以下、「結論のための十分な根拠」といいます)について
お知らせします。
2.前提の関連性とは、なにかな?
前提の関連性とは、一つ一つの前提がすべて結論との間に関係性があることをいいます。
帰納(きのう)的議論の良し悪しを見分ける規準です。
どうして、前提の関連性が必要なのかな?
関連性があると、結論が根拠あるものになるから
前提が結論を関係(支持)するものであればあるほど、
結論がしっかりとした根拠あるものになるからです。
反対に、無関係な前提だと・・・
これとは反対に、結論に関係のない前提だと、いくら積み重ねても、結論を支える前提にならないからです。
結論に根拠を与えることができないので、無意味なのです。
でも、こんな議論する人いる?って思うのですが・・・
この手の議論は、日々の暮らしの中で結構見かけるのです。
たとえばです。
親が子どもの素行について叱ろうとしたところ、
子どもが、逆に理論整然と言い返してきたときに出ます。
「子どもが何を言ってるんだ!」
「お前は、まだ何も分かってないんだ!」
だのです。ほぼ逆切れ状態でセリフとして出てきます。
次のように前提を整理するとよく分かります。
全く結論と関連性がないのです。
前提1: 子どもが何を言っているんだ
前提2: お前は、まだ何も分かっていない
結論: 素行を正しなさい
前提1も前提2も結論には、全く関連性がありません。
それでも、無理やりこじつけて叱ってしまうのです。
ふくカエル
3.結論のための十分な根拠も必要!
実は、帰納(きのう)的議論において、
- 前提の認容可能性
- 前提の関連性
の2つの規準がいくら満たされたしても、結論のための十分な根拠にはならないのです。
ふくカエル
なので、妥当で正しい結論を導くためには、その他の十分な根拠が必要になってきます。
じゃあ、根拠を十分にするにはどうする?
経験を集めて一般化にする
まず、結論の根拠を十分にするためには、経験を集めて一般化します。
一般化とは、さまざまなな事物に共通する性質を抜き出して、抽象化して、一つの概念にまとめることです。
これは帰納(きのう)的議論の中で最も広く知られている方法の一つになります。
サンプルを集める
次に、サンプルを集めます。
サンプルを集めて、サンプルから一般的な結論を推論するのです。
日々の暮らしの中で、身近な例でいうと、
ある化粧品を購入するときに推論してます。
ふくカエル
いろいろな人からの経験や感想などの口コミ情報がサンプルになります。
この口コミ情報から、その化粧品の効果が一般的にはどうなのかを推論することができます。
また、飲食店のお店の口コミ情報も同じです。
口コミ情報が「3.8以上だと美味しいお店かな?」と推論しませんか?
でも、サンプルの落とし穴に注意する!
でもです。
サンプルの集め方を間違えてしまうと、大きな落とし穴にハマってしまいます。
たとえば、小数のサンプルから一般的な結論を出してしまう場合です。
不適切な一般化になることが多いです。
なので、集めたサンプルが十分な根拠を持っているのかどうかをよく考えないといけないのです。
じゃあ、十分な根拠を持っているかどうか、どうするといいのかな?
3つのポイントをチェックする
不適切な一般化を避けるために、次の3つのポイントをチェックします。
- サンプルの中身を理解しているか?
- サンプル数は十分か?
- サンプルに代表性があるか?
1.サンプルの中身を理解しているか?
まず、サンプルの中身を理解しているかどうかをチェックします。
サンプルの中身とは、具体的にどのような人をサンプリングしたのかという内容のことです。
サンプルの中身が問題となる例として、次のような場合があります。
ふくネコ
「テレビで言っていたから・・・・」
「みんなが言っていたから・・・・」
というセリフです。
これらのセリフの中でのサンプルは
- テレビ
- みんな
から始まっています。
ところがこのサンプルですが、非常にあいまいです。
なので、
- テレビってどこのテレビが言ってたの?
- みんなって誰がいっていたの?
とサンプルの中身をさらに詳しく説明するように求めると、
たいがいは、すご~~く小さなものに限定されてしまいます。
たとえばです。
えっと、水曜日の何時から
やっているテレビで誰それが言ってた。だの。
みんな? えっと、僕と僕、それから僕、だの。
おい1人かよ!!というお粗末な話になります。
説得力のある議論をするときには、最初からサンプルは明確にしておくのがいいです。
説得力の弱い議論をする人ほど、このようなあいまいなサンプルを使いたがるのです。
だって、みんなが言ってたもん!
2.サンプル数は十分か?
次に、サンプルの数は十分かどうかをチェックします。
具体的にはどの程度のサンプル数なら、そのサンプルの全体的な一般化をすることができるかを考えます。
確かに統計学や確率の基本的な知識も必要です。
現実的には、
より大きなサンプルのサイズになればなるほど、一般化が正確になる確率があがります。
小さなサンプルだと、極端な値は不適切で歪んだ影響を平均値に及ぼします。
3.サンプルに代表性があるか?
さらに、サンプルに代表性があるかどうかをチェックします。
代表性とは、そのサンプルが集団全体の代表としてふさわしいかどうかを表すものです。
ここでいう代表は、全体の様子を反映しているものという意味です。
集団全体とサンプルが、特質(結論と関連性)で非常に似ているのであれば、そのサンプルには代表性があるといえます。
なので、代表性のあるサンプルをいかに多く集めることが、
帰納(きのう)的議論において、結論に十分な根拠を与える鍵になってきます。
では、具体的に代表性を保証するには、どうすればいいのかな?
サンプリングとは?
集団全体からサンプルを選び出す(抽出する)ことをサンプリングといいます。
サンプリングには代表性が損なわれないようにする必要があります。
ふくカエル
たとえば、世論調査です。
世論調査は、テレビや新聞などのメディアでよく目にします。
すごく印象的なサンプルなので、多くの人はそのまま受け取ってしまいがちです。
世論調査は、いろいろな印象操作に使われる危険性があるので、
最近では、世論調査のサンプリングがどのようにされているのか問題になっています。
どこで? どのように? に注意する
まず、
- どこで
- どのようにして
サンプリングされたかに注意します。
サンプリングの詳細がきちんと示されない場合には、
信頼性がないサンプリングだと判断してもいいです。
ランダム(無作為)にサンプリングする
次に、サンプルの代表性を保証するために、ランダムにサンプリングするようにします。
正確には、
その集団の各メンバーが、他の全てのメンバーと同じ確率でサンプリングするという意味です。
よくやる方法が、
20名のメンバーがいたら、
20名のメンバーの名前を書いた名前を混ぜて一つの袋にいれて、
よく混ぜた後に目隠しをして10名分の名前を引く方法です。
代表性のないサンプルは誤った結論を導いてしまうので、本当に注意しなければなりません。
ふくネコ
良い帰納(きのう)的議論についてのまとめ
- 前提が認容可能でなければならない。
- 前提は結論と関連性をもたなければならない
- 前提は結論のために十分な根拠がなくてはならない
認容可能性の有無は、次の典型例と合致するか否かで評価します。
- 良い議論としての5つの典型例
- 悪い議論としての5つの典型例
すべての前提が結論に対して関連性があるかどうかで評価します。
- 前提の認容可能性
- 前提の関連性
の2つを満たされたとしても、それだけでは不十分です。
十分な根拠をもたせるには、経験を一般化して、一般的な結論を導くことです。
具体的には、サンプリングをして、集団全体に関する一般的な結論を推論してみます。
- サンプルの中身
- サンプル数
- サンプルの代表性
今回のクリティカルな思考になる第84の原則
サンプルからの一般化の議論に出会った際には、サンプルの中身、サンプルの数、サンプルの代表性について必ずチェックせよ。
クリティカルシンキングより引用
こんな風にアレンジしてみた!
第84の原則
相手が、議論にサンプリングを持ち出してきたら、
まずは、次の3つのポイントをチェックすることだよ。
それから議論だよ。
- サンプルの中身
- サンプルの数
- サンプルの代表性
本当に大事だから、
チェックする癖をつけて
おいたほうがいいよ。
そうするとマルチ商法や詐欺の類に
敏感になれるよ。
まとめてみたkerokero
- 帰納(きのう)的議論の正しさを評価する残りの規準についてお知らせしました。
- 前提の関連性、結論のための十分な根拠の規準です。
- 結論のための十分な根拠についてはサンプルからの一般化に出会ったら、中身、数、代表性の3つのポイントに注意します。
最後まで、読んでくださってありがとうございます。
またのお越しをお待ちしております。
ふくカエルでした。
なお、クリティカルシンキングの引用文は、宮元博章さん他お三方の日本語訳によりました。