相手の矛盾をうまく指摘して、論理的に反論したい人に教えたい7つの論法
こんにちは!ふくカエルです(Twitterアカウント:ふくカエル)。
ご訪問いただきましてありがとうございます!
今回は、クリティカルシンキング実践篇「あなたの思考をガイドする50の原則」を勉強してみます。
この記事は、あくまでもわたしの個人的な解釈に基づくものです。
中には、「これ違うんじゃないの?」という箇所もあるかと思います。
温かい目でお見逃しくださいますよう、よろしくお願いします。
もっと、きちんと
くわしく理解したいぞ~~~!
という方には、下記の書籍をご覧いただけるとありがたいです。
今回から第9章「良い議論と悪い議論」です。
日々の暮らしの中で欠かせないものの一つに、「議論する」ことがあります。
自分の決定が正しいことを他人に納得させることが、必要な場面が出てきます。
そんなときこそ、クリティカルな思考力が必要になってきます。
思考力をうまく使えば、次の2つのことが可能になります。
- 自分の考えを論理的で説得力のある方法で主張できる
- 他人の主張や議論を適切に評価できる
ふくカエル
前回は、
代表性のないサンプリングの4つの例についてお知らせしました。
帰納(きのう)的議論において、サンプルを持ち出して議論をすると、結論に説得力を持たせることができます。
でも、サンプルは偏りがあることが多く、誤った結論を導きます。
誤った結論を導てしまう身近な実例を知り、
さらにサンプルを意識し、安易に信頼しないようにする姿勢を身につけることが必要です。
今回は、
今回は、誤った論法についてお知らせします。
どうして、誤った論法を知ることが必要なのかな?
必ずしも相手が論理的だとは限らないから
実は、議論をするとき、
必ずしも、相手が論理的な議論ができる人とは限らないからです。
中には、無茶苦茶な論法を仕掛けてくる人もいます。
相手の無理難題な主張に、まんまとだまされるのも悔しいです。
そこで、そんな相手と議論することになったときに、困らないようにするために、
誤った論法とはどういうものかを知っておくといいです。
相手の議論の矛盾点を指摘することができるから
誤った論法の知識があると、相手の主張の論理的な矛盾点や非合理性をうまく指摘することができるからです。
さらに、相手の主張に対して論理的に反論し、ぐらつかせることもできます。
それでは、誤った論法とはなにかな?
7つの論法
誤った論法はいろいろあるのですが、ここではおもに7つの論法についてお知らせします。
- 人身攻撃論法
- 先回り論法
- 二者択一強制論法
- 雪だるま式論法
- わら人形論法
- 無知へのアピール論法
- 感情へのアピール論法
です。
1.人身攻撃論法
人身攻撃論法とは?
人身攻撃論法とは、相手の「議論の内容」について議論を述べずに、
議論をしている「人」に対して議論をすることです。
ふくカエル
攻撃の対象は・・・
攻撃の対象は、次のようなものです。
- 相手の知性
- 性格
- 経験
- 経験
- 性別
- 祖先
- 人種、など
ふくネコ
人身攻撃論の問題点
この論法で問題なのは、次のような暗黙の前提があることです。
暗黙の前提とは、
- そんな劣った人種
- 愚かな人間
- 非道徳な人間
が、正しい判断や合理的な結論を出せるはずがないという前提です。
ふくカエル
このような前提に固執して、
相手が議論している内容に触れずに、
まったく関係のない特性を誹謗中傷するのです。
ふくネコ
こんな論法に遭遇したら、どうする?
第85の原則
議論の相手そのものを攻撃しても、議論の中身の正しさとは関係がない(人身攻撃論法)。
人身攻撃論法に遭遇したら、
まず、することは、相手の論法に乗らないことです。
相手の挑発に乗って、自分の身を守る努力をする必要はないです。
次に、自分の議論の内容に反論できないから相手が人身攻撃をしてくることに気づきます。
そして、相手の挑発を無視して、淡々と相手の議論の脆弱なポイントを指摘すればいいのです。
わたしの性格うんぬんは別の論点です。
今、わたしが議論している内容は、あなたの〇〇の意見について、〇〇〇が不明確なところです。
できれば、もっと明確になるように。ご説明いただきたい!
な~んて、指摘してみてください。
2.先回り論法
先回り論法とは?
先回り論法(先に井戸に毒を入れておく論法ともいいます。)とは、
「もし、あなたが私の意見に合意しなければ困ったことになる」とほのめかして、
自分の意見に、相手が反論する道をあらかじめ奪う論法のことをいいます。
たとえば・・・
たとえば、次のようなことを言ってきます。
わたしに反論するってことは、
- 女性の敵やわ!
- 頭かたすぎるわ!
- 友達とちがうわ!
- 民主主義を理解してないわ!
なんて言う人です。
先回り論法の問題点とは
実は、先回り論法は、人身攻撃論法の変形なのです。
相手の「議論の内容」を全て封じ込めて、自分の主張を押し通します。
このような無茶ぶりなところが問題なのです。
議論の正当性が歪められます。
ふくカエル
こんな論法に遭遇したら、どうする?
相手が先回り論法を使って、こちらの反論の封じ込めにかかってきたら、
人身攻撃論法と同じように、相手の封じ込めにビビらないことです。
反論の封じ込めをしても、自分の議論の内容や正しさとは関係がないことを主張します。
3.二者択一の強制論法
二者択一の強制論法とは?
二者択一の強制論法(虚偽のジレンマ論法とも言います)とは、
相手が、次の2つの選択肢に限定して、
- 支持しているもの
- まったく認めることができない
さらに、二者択一を強制してくる議論です。
たとえば、親が子どもに説教するときによく見かけます。
小学校のときにしっかり勉強していないと、将来ろくな人間にならないぞ。
今遊んで将来を棒に振るのか?
それとも今勉強して立派な人間になるのか?
あるいは、職場で上司から言われちゃうことも・・・。
もし、わたしのやり方が気に入らなければ、仕事を辞めたらいい。
ふくカエル
二者択一の強制論法の問題点とは?
相手を2つしか選択肢がないように思わせ、自分にとって都合の良い選択肢を選ばせるところが問題なのです。
実は、選択肢はたくさんあるのに隠して議論するところが問題です。
ふくネコ
こんな論法に遭遇したら、どうする?
第86の原則
相手から二者択一を迫られたときには、他の選択がないかどうかを考えよ(二者択一の強制論法)。
二者択一の強制論法に遭遇したら、
相手の強迫に怖気ずに、他にも選択肢があるのではないかと考えます。
先の親の説教でいうなら、
- 適当に遊んでそれなりに勉強する
- 必ずしも勉強しないと立派な人間になれないわけではない
という選択肢を相手に示します。
先の上司の例でいうと
- 気に入らないのではなく、改善すべきところである
- 非難するのではなく、評価できないのか?
という選択肢をしめします。
気に入らないことがあれば、どうして仕事を辞めなければならないのか、前提そのものに認容可能性がないのです。
なので、
「そもそも、前提そのものが間違っている!」と反論できます。
また、ひょっとしたら2、3の批判しただけなのに、すべてのやり方が気に入らないと、
上司が勝手に一般論化しているのなら、
「気に入らない」という言葉から始まる批判のサンプリングに代表性がないことになります。
なので、
「そもそも、サンプリングに問題がある!」と指摘して反論できます。
4.雪だるま式論法
雪だるま式論法
雪だるま式論法(滑りやすい坂道論法とも言います)とは、
一つの望ましいくない行為が
さらに望ましくない行為を生み、
次々に、より望ましくない行為をとりこみ、
破壊するまで生み出していく雪だるまのような効果をもたらす論法です。
雪だるま式論法の問題点とは?
たしかに、雪だるま式論法は、将来の危険の可能性を予測するには有効です。
でも、議論に飛躍を引き起こすのです。
小さいことが大きくなっていくと結論がとでもなく大きなことになってしまうところが問題なのです。
ふくカエル
こんな論法に遭遇したら、どうする?
第87の原則
論理の飛躍を重ねると、とんでもない結論に到達してしまう(雪だるま式論法)。
相手が雪だるま式論法をしてきたら、どこに議論の飛躍があるのかを指摘するようにします。
あのね、気づいてへんと思うねんけど。
今、めっちゃ飛躍してるで。と指摘してあげましょう。
5.わら人形論法
わら人形論法とは?
わら人形論法とは、相手を簡単にノックアウトできるわら人形のように見立てて議論することです。
相手の立場を実際よりも弱いものに見せかけて、
自分の立場を強いものに見せつけるテクニックです。
たとえば・・・
2つの方法があります。
- 相手の立場を、実際に相手が言っているよりも
さらに極端なものに言い換えてやること - 相手の議論の中での些細なポイントや特徴を取り上げ、議論の中心にしてしまうこと
さらに極端なものに言い換えるとは
たとえば・・・
「君は仕事を知らないよ!」とこちらが議論しているのに、
あっつ!今、無能だと言いましたね。と極端なものに言い換える場合です。
「君はちょっとぽちゃているね」と言ったのに、
あっつ!今、ブスだと言いましたね。
と過剰反応するのに似てます。
些細なポイントや特徴を取り上げるとは
たとえば・・・
「若い世代は経験がないので、もっと経験をしたほうがいいよ」とこちらが議論しているのに、
若いから問題があると言いましたね。
今のセリフで
日本全国の若い世代の人たちを
敵に回しましたよ。な~んて言ってくるのです。
「経験がない」ことが問題だと言っているのに、「若いこと」が問題だとすり替えるのです。
わら人形論法の問題点とは?
わら人形論法は、
- こちら側の主張を極端に言い換えたり、
- 些末な点を大げさに取り上げて反論してくるので、
議論の論点がすり替わるところが問題です。
議論が横道にそれちゃうからです。
こんな論法に遭遇したら、どうする?
第88の原則
相手の主張を実際以上に極端に言い換えていないか、あるいは些末な点だけをおおげさに取り上げていないか注意せよ(わら人形論法)。
相手が論点をすり替えてきたら、
相手の言葉に注意して
- 言い換えている言葉
- 大げさに言っている論点
を整理してみます。
すり替えている点を指摘して、議論を横道にそれないようにします。
もっとも、自分もわら人形論法にならないように注意するのが大切です。
6.無知へのアピール論法
無知へのアピール論法とは?
無知へのアピール論法(知らないことにつけこむ論法ともいいます)は、相手をごまかして納得させるのによく使われる方法です。
これは、自分の主張に対して、
相手が否定的な証拠(反証)を提示できないという理由だけで、
自分の結論を受け入れるように迫る論法です。
わたしの間違い証明できないのなら、
わたしの主張は正しいねん!
たとえば、これです。
写真に写っている人影っぽいものが、
偶然である証拠を
科学的に説明できないのなら、
霊は存在するねん!
というやつです。
無知へのアピール論法の問題点とは?
無知へのアピール論法が問題なのは、理由のわからない現象を示して、
自分の説が誤っていることを相手に証明するように要求するところです。
ふくネコ
非常にむなしい議論になります。
本来、主張する説が誤っていないことを証明するのは、主張する側であって、相手側ではないのです。
先の例でいうと、
「霊がいる」ことを主張する側が、「霊がいる」ことを絶対否定できないことを証明することが当然なのです。
ふくカエル
本当は、主張した者が、
霊の存在を証明しなあかんねん。
こんな論法に遭遇したら、どうする?
第89の原則
反証できないことを、その主張が正しい論拠と見なしてはならない(無知へのアピール論法)。
無知へのアピール論法に遭遇したら、まずは、非常にむなしい議論だと思ってください。
次に、反証できないからといって、主張が正しいとはみなされないことを指摘します。
さらに、相手に対して、
「自分の説が正しいというのなら、自分の説が正しいことが否定できない、誰が見ても明白な証拠を示してください」
と求めるのがいいです。
7.感情へのアピール論法
感情へのアピール論法とは?
感情へのアピール論法とは、
論理的な根拠に基づいて議論するのではなく、
議論の中で議論を聞いていた人達の中から引き出された感情を利用して、
結論に到達しようとする意図のもとでする議論のことです。
たとえば、同情を引き出して、自分に有利なように結論をもっていく論法になります。
ふくネコ
感情へのアピール論法の問題点とは?
「議論の内容」そのものと全く関係ない周囲の感情を利用して結論を正当化してしまうところが問題です。
全く議論が成立しないことになります。
こんな論法に遭遇したら、どうする?
第90の原則
論理の正しさと、感情的な要素はきちんと区別せよ(感情へのアピール論法)。
感情へのアピール論法に遭遇したら、
「議論の内容」と「感情的な要素」はまったく無関係であることを指摘します。
議論と感情的要素を区別することは大事ですが、
相手が感情的な要素を故意に利用しているときは、非常に厄介になります。
まとめてみたkerokero
- 誤った7つの論法についてお知らせしました。
- 誤った論法の知識があると、相手の矛盾をうまく指摘して、論理的に反論することができます。
以上にあげた間違った論法を
- 知っている
- 知っていない
とでは、大きく違います。
相手の間違いを指摘できると、自分の冷静さを保てることができるし、何よりも議論を正しく進めることができます。
本来、正しい結論を導くのは結構むずかしいのです。
一方で、間違いを指摘することはとお~っても簡単です。
なので、今現在、SNS上においても、人の意見を簡単に批判して終わりという傾向があるのもうなずけます。
議論の方法を知っておくと、こういった批判して終わりという傾向に流されずに、
きちんと自分の意見を主張して議論できるようになれます。
議論をしなければならないときに、
相手を打ち負かすことだけに焦点を当てる議論ではなく、
議論の方法についての知識が既にあり、
議論する相手と共に、その時点で適正である結論にたどり着く、
建設的な議論ができると、人間としてスマートです。
ふくカエル
最後まで、読んでくださってありがとうございます。
またのお越しをお待ちしております。
ふくカエルでした。
なお、クリティカルシンキングの引用文は、宮元博章さん他お三方の日本語訳によりました。