効果的に問題を解決する方法2 その4
こんにちは!ふくカエルです(Twitterアカウント:ふくカエル)。
ご訪問いただきましてありがとうございます!
今回は、クリティカルシンキング入門篇「あなたの思考をガイドする50の原則」を勉強してみます。
もっと、きちんと くわしく理解したいぞ~~~!
という方には、下記の書籍をご覧いただけるとありがたいです。
今回から第7章「問題を解決する」です。
日々の暮らしの中で、いろいろな問題に遭遇します。
- 今日のお昼は何を食べるか?
から
- 政治はどうすればいいのか?
まで、問題はさまざまです。
でも、問題の目的がハッキリしていて、正解が必ず一つだけ存在する問題については、
問題解決をどのようにすれば、うまくいくかは共通です。
日々直面する問題を適切に解決できると、
個人的なレベルでは「良い生き方」につながります。
社会レベルでは「すみやすい社会を作れる」ことにつながります。
なので、ちょっと問題解決に困ったなあと思ったのなら、参考してくださるとうれしいです。
第7章では、問題について考えて、その解決法を考えます。
そのためには、種々の「メタ認知的技能」を使いこなす必要があります。
「メタ認知」についてお忘れになった方は、第6章を読んでくださるとうれしいです。
もちろん、正解がなく、考えられる解決策の中で、どれがベストか決めなくちゃならない問題もあります。
これについては、次の章の第8章でお知らせします。
前回は、
前回では、効果的に問題を解決するために5つのステップのうち
- 既知事項と仮定を区別する
- 問題をわかりやすく表現する
- 時間配分と有限な資源を割り当てる
- 問題と関連した知識を利用する
第3ステップ「適切なプランを立てる」の具体的内容である、
- 問題と関連した知識を利用すること
- 知識が不活性化しない気をつける
- 類推的な思考を身につける
ことなどについてお知らせしました。
今回は、
前回のお知らせした類推的思考の具体例をお知らせします。
たとえば、こんなことないですか?
知識の転移
これは~のようだ
これは~に類似している
と、日々の暮らしの中で、類推的思考を心がけるようにしていると、
次のようなことに気づきます。
自分がよく知っている、熟知している知識が、
自分があまりよく知らない領域を理解するときに
役立っているぞ!
実は、これ「知識の転移」といいます。
転移元になる知識や情報を「ソース・アナログ」と言います。
この「知識の転移」ですが、日々の生活の中でも結構あります。
たとえば、自転車とバイク
たとえば、自転車とバイクです。
自転車を乗りこなす技術がソース・アナログになります。
このソース・アナログが、バイクを乗りこなす知識として機能します。
たとえば、脳とコンピュータ
たとえば、脳とコンピューターです。
脳の知識について詳しければ、その知識をソース・アナログとして、コンピュータの仕組みを理解できるようになります。
また、コンピュータの知識に詳しければ、その知識をソース・アナログとして、脳の仕組みを逆に理解できるようになれます。
その他にも、世界的な発見に貢献した例があるよ!
この知識の移転ですが、世界的な発見に貢献した例があります!
ベンゼンの環
まず、ドイツの化学者であるアウグスト・ケクレ教授が発見した「ベンゼンの環」です。
【出典:Wikipedia】
科学を選択すると、必ず出てくる「ベンゼンの環」です。
ふくカエル
ふくカエル
ケクレ教授は、ヘビが自分のしっぽを加えて踊る夢を見て、ベンゼン環の分子構造を発見したと言われています。
- なにやら踊る蛇
- ベンゼンの六角形の構造
との間に「円環形」という類似点があることに気づいたそうです。
ふくカエル
ただ、これについては創作かもしれないという説も出てます。
シールド工法
次に、マーク・イザムバード・ブルネル氏によって開発されたシールド工法です。
これは、トンネルの掘削法です。
簡単に言うと、前方で掘りながら、同時に後方でトンネルの壁を作っていくとう方法です。
ふくカエル
なので、とてもわかりやく図解してくださっている川崎悟司さんのツイートをご紹介しておきます。
トンネル工事で軟弱地盤でよく使われる「シールド工法」というのがあるんだけど、この工法のアイデアが生まれるきっかけになったのが、流木なんかに潜み、木材を食べる「フナクイムシ」らしい。ワーム系の生き物に見えて、実は二枚貝の仲間! pic.twitter.com/LdJDU6DAsf
— 川崎悟司 (@satoshikawasaki) December 17, 2017
この画期的な方法ですが、
フナクイムシの穴掘りから類似点を見つけて、アイデアを思いついたそうです。
フナクイムシは水中にある材木に穴を掘って生活します。
普通なら、水中にある材木に穴を掘ってもそのうち死ぬはずなのです。
なぜなら、たとえ穴を掘ったとしても、
再び、木材が水分を含んで膨張すれば、穴もそのうち潰されるからです。
でもです。フナクイムシは死なないのです。
実は、フナクイムシは、自分の頭にある貝殻で材木を食べては、
分泌した体液で自分の後ろにできた穴の壁をコーティングすることで、
木材が水分を含んで膨張することで穴を潰されることを防いでいるからです。
- フナクイムシの穴掘り
- トンネルを掘る
との間に「掘ながら固める」という類似点があることに、
気づいたブルネイさんは、シールド工法のアイデアを思いついたそうです。
ふくカエル
活版印刷術
さいごにご紹介するのは、ヨハネス・グーテンベルグさんによって発明された活版印刷術です。
ふくカエル
まず、紀元前4000年頃のメソポタミア文明では、粘土に文字を掘ってました。
でもこれは、重いし、割れたらアウトです。
次に、紀元前3000年頃はエジプトでパピルスに文字を書いてました。
でもこれは、燃えたら終わりで記録を残せません。
なので、写本という、本を書き写す技術が生まれました。
でも、これはとても疲れる作業です。
そこで、文字を逆さに掘って印刷するという技術が生まれました。
でも文字を掘る版木が面倒でした。
そこで発明されたのが、活版印刷術です。
グーテンベルグさんは、
- 封蝋(ふうろう)
- 版木
との間に「文字を逆さに掘って印字する」という類似点があることに、
気づいて、文字をバラバラの鉛の印字にするアイデアを思いつきました。
封蝋とは、手紙を封印する際に使うロウのことです。
ロウをとかしてその上からシーリングスタンプを押します。
さらに、
- ブドウを絞る桶
- 版木に紙を圧しつけて印刷する
との間に「広い平面に均一に力を加えてる」類似点があることに、
気づいて、一度にたくさんの文字を印字するアイデアにも思いつきました。
ふくネコ
グーテンベルグさんの活版印刷術のYoutubeがあったので載せておきます。
【出典:Sabrina Huyett】
でも、どうしたらこのような類似点を見つけられるのかな?
そうなんです。
以上のような効果的に類似点を見つけて、自分の持っている知識から知識の転移をしてみたいですよね。
そんなの天才しか
できないんじゃない?
と思ったあなたに朗報です!
効果的に類似点を見つけて、新しいアイデアを思いつく方法があるんです。
主に2つの方法があります。
- 変形
- 連想
です。
Clement,J. 1988
Observed methods for generating analogies in scientific problem solving.
具体的には、どうする?
変形
変形とは、元の状況を何らかの方法に変えて、類似した別の状況を作ることです。
たとえば、次のような方法を使って状況を変えてみます。
- 歪曲
- 増大
- 減少
- 置換
1.歪曲とは、
- 意味
- 色
- 動作
- 音
- 香り
- 形式
などを変えてみることです。
見た目を変えてみるだけでも、類似点がパッと見えてくることがあります。
音や香りなどの影響を失くすだけでも、それまで気にならなかったことが見えてきたりします。
2.増大とは
- 多くする
- 何か加える
- 時間をかける
- 回数を多くする
- 強くする
- 高くする
- 長くする
- 厚くする
- 他の価値を加える
- 他の成分を加える
- 二倍にする
- 誇張する
これは覚えておくといいです。
とっさに困ったときに、視点を変えることができます。
3.減少する
- 減らす
- 濃縮する
- 小型にする
- 低くする
- 短くする
- 軽くする
- やめる
- 分割する
- 控え目にする
4.置換
- 他の人
- 他のもの
- 他の動力
- 他の場所
- 他のやり方
- 部分を入れ替える
- 他の型
- 他の設計
- 他の順序
- 原因と結果を入れ替える
- ベースを変える
- 日程を変える
- 裏返し
- 後ろ向き
- 逆さま
- 役割を逆にする
連想
次に連想することです。
連想とは、似たような状況との連想によって理解することです。
と考えるのも、連想です。
番外編で、声を出す!
番外編ですが、思ったことを全部言語化することです。
これは類推的思考(アナロジー)を被験者が出来ているのかを実験者が記録するために手段として取り入れられた方法ですが、
声を出して考えると、意外に類推的思考ができて、発想が柔軟になってきます。
ふくカエル
これは、わたし個人の考えですが、
- 言語化することによって、
- 耳からまた情報が入ってくることによって
脳のいろいろな部位が活性化されるからかもしれません。
クリティカルシンキングで言えば、マインドフルな状態になるような気がします。
ここで、ちょっと考えてみませんか?
類推(アナロジー)を作る練習をしてみませんか?
あなたも類似性(類似点)をみつけて、知識の転移を体験してみませんか?
では、いきますよ!
たとえばです。
うまくいっていないカップルの問題
空中ブランコにおける知識をソース・アナログにして、知識の転移をしてみます。
空中ブランコが成功するためには、お互いの調和が大切です。
そのためには
- 相手の動きを予測する
- 相手を信頼する
- お互いがタイミングよく手を伸ばす
ことなどが必要です。
この知識をソース・アナログにして、
恋愛問題についても、同じような行動が必要だと考えるのです。
では、ここで質問です。
次にあげる問題を解決できるような類推(アナロジー)を考えてみてください。
ふくカエル
類推できたら、それは
- 変形
- 連想
のいずれによるものか分析してみてください。
- むずかしい宿題が出された子供にやる気をおこさせる
- 生物学の授業で良い点をとる
1.むずかしい宿題が出された子供にやる気をおこさせる
「むずかしいネットゲームで遊ぶ」ことを類推してみます。
子供はどんなにむずかしいネットゲームでも、何時間もぶっ通しでも、集中して遊び続けます。
そこで、どうしてむずかしいのにゲームに集中できるのかを考えてみます。
- 魅力的な報酬
- 気になるアイテム
- 驚くような展開があるエピソード
- 大好きなキャラクター
などがゲームにあることをソース・アナログにして、勉強にどのように転移できるのかを考えてみます。
具体的に取り入れる方法が見つかれば、それは、変形の「置換」にあたります。
2.生物学の授業で良い点をとる
「山登り」を類推してみます。
「山登り」についての知識をソース・アナログにして、生物学の授業で良い点をとれるかに活かせるかを考えてみます。
- 山を登るのに必要な努力
- 忍耐力
- その日の目標をクリアする辛抱強さ
- できるだけ頂上を目指す根性
生物学の授業で壁にぶち当たったときに、登山のツラさを連想して、自分を鼓舞するようにします。
これは連想にあたります。
まとめてみたkerokero
- 類推的思考の具体例をお知らせしました。
- 知識の転移とアナロジーをつくる2つの方法です。
最後まで、読んでくださってありがとうございます。
またのお越しをお待ちしております。
ふくカエルでした。
なお、クリティカルシンキングの引用文は、宮元博章さん他お三方の日本語訳によりました。